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【テキスタイル】世界に誇る最高品質!「倉敷帆布」

こんにちは!
ソーイングスクエア管理人です。

先日、国内でも注目されている岡山デニムについてご紹介する記事をアップしましたが今回は岡山県が誇るもう一つの記事【倉敷帆布】のご紹介です✨

倉敷帆布—日本が誇る高品質の帆布

皆さんは“倉敷帆布”をご存知ですか?

倉敷帆布は、岡山県倉敷市で生産される伝統的な帆布素材です。その歴史は古く、優れた耐久性と美しい質感から、バッグやインテリア、服飾雑貨など、幅広い製品に活用されています。

倉敷帆布の歴史

大規模な干拓地である倉敷市では、江戸時代から塩分に強い綿の栽培が始まり、綿の一大生産地となりました。そして、綿を用いた小倉帯地などが盛んに作られるようになり、糸を撚り合わせる技術が磨かれていったと言われています。
明治時代になり、それまでに培ってきた撚糸の技術によって帆布工場が操業を開始しました。特に、倉敷市にある船穂地区や玉島地区では、良質な綿糸と熟練の技術によって、高品質な帆布が生産されるようになりました。倉敷産の帆布は、さまざまな生活用品や産業用品として全国で愛用されてきました。そして現在、その伝統を受け継ぎながら、新しい用途に応じた帆布の開発が進めら国産帆布の約7割を倉敷産が占めています。

明治以降、倉敷市で帆布が作られ始めてから名前がない状態が続いていた帆布でしたが倉敷の二大帆布織物会社の出資協力によって平成15(2003)年に設立された『株式会社バイストン』によって「倉敷帆布」と名付けられ今に至ります。

倉敷帆布の特徴

倉敷帆布が国内市場の70%を占める評価されている理由は主に、高い耐久性と自然素材の魅力があげられます。

倉敷帆布は、厚みのある織り方と高品質な綿糸を使用しており、平織りは、糸を交互に浮き沈みさせて織っているため、丈夫で摩擦に強い性質を持っています。さらに帆布は糸を撚り合わせる織り方をしているので、非常に丈夫な織物(生地)に仕上がります。

最初は硬い場合が多い帆布ですが通気性が良く、水が浸透しづらいため長年に使い込むことでき経年変化で味わい深い風合いが生まれます。また綿100%の素材は、使い心地が柔らかく、環境にも優しいため無地でも豊かな表情があり、シンプルな美しさを楽しめます。

倉敷帆布ができるまで(生産工程)

高い品質が魅力の倉敷帆布の人気を支えてきた大きな理由としてあげられるのが高い品質を維持するための生産管理体制が今でも継続されている点にあります。糸づくりから織布、検反、出荷までを一貫して行う体制が早くから整い現在にいたるまで妥協することなく品質管理を徹底してきました。以下、倉敷帆布の生産工程について、工程ごとに解説します。

工程1:合糸(ごうし)

紡績上がりの2〜8本の綿糸を1本の糸にまとめる作業です。この工程で、帆布の厚さが決まります。特に「割りつなぎ」と呼ばれる継ぎ糸をつなぐ作業は、今でも手作業で行われています。これにより、織布工程がスムーズになり、生地の品質向上に貢献しています。

工程2:撚糸(ねんし)

合糸された糸に撚りをかけ、糸の強度を高める作業です。撚りをかけることで、糸が毛羽立ちにくくなります。糸を巻き終えたロールは、その形が「チーズ」に似ているため、そう呼ばれています。

工程3:整経(せいけい)

帆布生地を織るための縦糸(経糸)を準備する工程です。部分整経機を使用し、1,200〜2,000本の糸を少しずつドラムに巻き取ります。その後、織機に取り付けるための巨大なロール(ビーム)に巻き直します。

工程4:経通し(へとおし)

整経工程で準備した縦糸を織機のパーツ「ドロッパー」「ヘルド」「おさ」に通す作業です。1,200〜2,000本の糸を、職人が針を使い1本ずつ丁寧に通していきます。

工程5:製織(せいしょく)

シャトル織機を使って、準備した縦糸と横糸を織り合わせます。この工程で作られた帆布には「耳(セルヴィッジ)」がつきます。耳がきれいに仕上がるのが倉敷帆布の特徴であり、高品質の証でもあります。

工程6:流し検反(ながしけんたん)

製織工程で織り上がった帆布を50メートルごとにカットし、検反機を使ってキズや汚れを目視でチェックします。これにより、高い品質が保たれます。

工程7:畳み(たたみ)

検反を終えた帆布を1メートルごとに畳み、さらに二つ折りにして号数ごとに積み上げます。その形が豆腐に似ていることから「トウフタタミ」とも呼ばれています。

工程8:仕上げ(しあげ)

最終チェックでは、職人の目でキズの箇所を再確認します。必要に応じて糸の調整や修復を行い、1級品として完成させます。
こうして完成した倉敷帆布は、ファッションやインテリア、産業資材など、さまざまな分野で活用されています。

倉敷帆布を使った作品

最近では自然素材であることからエコやサステナビリティへの関心の高まりとともに、若い世代のハンドメイド作家さんたちからも再注目されています。
Minne(ミンネ)などでもカラーバリエーションも豊富倉敷帆布をつかった個性的なデザインのトートバッグや、スマホケース、かわいいペンケースなどがたくさん販売されています。使い込むほどに味わいが増して経年変化を楽しめて頑丈な帆布はSDGsが叫ばれる現代のハンドメイドにぴったりな素材なのかもしれません。

倉敷帆布のこれから

ここまで倉敷帆布についてご紹介してきました。
倉敷帆布はその伝統と品質を守りつつ、新しい時代のニーズにも柔軟に応えています。
これからも倉敷帆布は、伝統を大切にしつつ、もっと身近で楽しいアイテムとして私たちの生活を彩ってくれるはず。次のお休みは、倉敷帆布で作られたアイテムを探しに行ったり、自分でハンドメイドに挑戦してみてはいかがですか?きっと新しい発見があるはずです!

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